なかなかクロージングまでたどり着かない
営業部門で成果に悩むA社の業務分析を行ってみましょう。システム開発を行っているA社では、マーケティング担当1名でリードの獲得を目指して動いていますが、なかなかクロージングまで結びつけることができていませんでした。そのため、営業部門の業務フロー見直しを早急にはかって、安定した売上の確保を目指すことにしました。
まずは業務の洗い出しからスタート
まず最初に業務内容の洗い出しから行います。頭の中に思い浮かぶ業務内容を片っ端から付箋紙に書いていくのですが、最初からきれいに業務フローの順番で書き出そうとしてもなかなか前に進みませんので、思い浮かんだものから書き出すのがコツです。その際、「誰が」「誰に」「何をする」という形式で書き出すと整理しやすくなります。
業務内容を書き出すと以下のようなものになりました。
続いて、書き出した業務内容を現在の業務フローに合わせて並び替えていきます。並び替えた状態が以下となります。
業務工程ごとに課題の内容や理由を言語化して整理する
業務フローの順番が正しいか、足りていない工程が無いか確認してから、気になる業務内容、つまり課題を感じている工程には赤色の付箋に変えてもらいました。こうすることで、誰が関わっているどの工程で課題が多いか、把握することができます。今回の場合、営業担当者がクライアントから要件をヒアリングして費用を算出する工程で課題が多いことがわかります。
次に、課題を整理していきます。ここでは Googleスプレッドシートや Excel などの表計算ソフトを使うと良いです。まずは以下の表のように、業務フローの工程ごとに行を増やしていき、課題の有無や「課題の内容」、「課題を感じる理由」、「どう改善したいか」などを記載していきます。
例えば、業務フローの2番目にある、
営業 が クライアント に 送信してもらった問い合わせ内容を確認して、見込み客か否かを判断する
という工程の「課題」「理由」「希望の解決方法」を整理すると、
【課題】 問い合わせが見込み客か否かを見極めるのに時間がかかる
【理由】 メールアドレスから問い合わせ者のホームページを確認したり、調査したりする必要があるため
【希望の解決方法】 問い合わせが来るタイミングで見込み客か否かの判定をして欲しい
となります。
同様に全ての課題を感じた工程でその内容、理由、希望の解決方法を整理していきます。
業務内容ごとの課題、理由、希望の解決方法から課題解決のヒントを得る
課題と希望の解決方法を整理(言語化)できたら、言語化した内容から3つのキーワードを拾っていきます。例えば、上記の例で紹介した2番目の工程で考えると、「問い合わせに対して、自動的に見込み客か否かを判断して欲しい」ということが汲み取れますので、キーワードは以下の3つを選定しました。
- 問い合わせ
- 自動判定
- 見込み客
そして、ここから解決のヒントを検索していくのですが、ちょっとしたテクニックがあります。それは、上記の3つのキーワードに加え、「ツール」または「機能」というワードを組み合わせて Google 検索することです。
今回はどちらの場合も、検索結果に「MA」であったり、「マーケティングオートメーション」というキーワードが多く見受けられるかと思います。つまり、この工程での課題を解決するためには「MA(マーケティング・オートメーション)」がひとつの解決策になり得るという可能性を示唆していると言えます。このように業務フローの工程ごとに内容、理由、希望の解決方法が整理することで、Google検索のみで余分なコストを掛けずに業務分析と解決策の糸口を見出すことができます。
この手法は、こちらの無料の業務分析ツールを使ってご自身で試すこともできますし、自信のない方にはファシリテーターが適切にリードして解決策のヒントまで導くワークショップも行っておりますので、以下よりお問い合わせください。
今回の業務分析のまとめ
今回A社の業務分析を行った結果、主な課題は以下の通りでした。
- (ホームページからの)問い合わせが見込み客か否かを見極めるのに時間がかかる
- (ホームページからの)問い合わせ者に電話をしてもでてくれないことが多い
- (問い合わせ者と)打ち合わせ日を決める際、なかなか決まらない
- (営業が問い合わせ者からの)ヒアリング内容の取りこぼしが多い
- 要件定義の費用が見積作成者に依存する
- 開発費用が見積作成者に依存する
- サーバの費用算出の精度が高くなく、運用開始後に金額が上振れすることがある
そして、それらを解決するヒントとして以下のITツールや機能を持ったシステムを導入することで効果を得られるかもしれないことがわかりました。
- MA(マーケティングオートメーション)
- 日程調整ツール
- オンライン研修ツール
- 共有可能な見積書作成ツール
- サーバ費用試算データベース
課題と解決策を整理すると以下のようになります。
- ホームページからの問い合わせがあった際に、問い合わせ者が見込み客か否かの判定を自動的に行うため、MA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する。
- 問い合わせ者との日程調整が難航しているので、日程調整ツールを導入することで効率化をはかる。
- 営業の属人化によりヒアリングする際の情報量や、見積もり時のクオリティが異なるため、オンライン研修ツールにより、レベルの底上げを行う。
- 同様に、共有可能な見積書作成ツールやサーバ費用試算データベースなどの導入により、見積精度の向上と提案までのスピードアップをはかる。
この4つの施策を検討することで、ホームページからの問い合わせをなかなかクロージングできないという営業の課題を解決し、売上アップの可能性を引き出すことができます。
業改革命の伴走サポートサービスでは、この後必要となる、具体的なITツールの選定から投資対効果の算出であったり、システム開発に必要となる、RFP(提案依頼書)の作成から業者選定、要件定義に至るまで、業務改善を必要とする企業とITベンダーやシステム開発会社との間に立って伴走方式でサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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